杉山茂樹氏著「4-2-3-1」は非常に示唆に富む内容でした。10年以上前になりますが、滝井敏郎氏著「ワールドサッカーの戦術」
を読んだ時に感じたものに近いものがあります。
この本の内容を一言で言えば、世界のサッカーの戦術はよりサイドを重視する方向に向かっているということです。そのために、両サイドに2〜2.5人ずつ、合計4〜5人の人数をかける布陣が最先端なのだそうです。
「サイド攻撃とディフェンス」で「両サイドが開きすぎると中央がルーズになるため危険だ」と書きましたが、その認識を少し改めなければならないかもしれません。
もっとも中央がルーズになれば危険であることにかわりはありません。中央がルーズになるリスクを減らすためのサイドのポジショニングは前述の通りで良いかと思います。
しかし、最先端の戦術が示しているのは、中央の人数を2人減らすことのリスクより、サイドの人数を左右1人ずつ増やすベネフィットの方が大きいということです。敵が中央に8人いる布陣に対して6人で中央は何とかカバーでき、さらにサイドは敵の1人に対して2人いればサイド攻撃が非常に威力を持つということです。
中央でボールをゴールに向かって運ぼうとしても、パスコースが360度開けているのがかえってあだになり、パスの出しどころを見つけるのが難しくなります。さらに相手のディフェンスのチェックも360度全方向から来る可能性があります。そこで決定的な仕事をするのがファンタジスタの魅力だといえばそうなのですが、ファンタジスタのいないチームでそれをやろうとしても無理です。
それならばあえてリスクの大きい中央での戦いは選ばず、サイドに人数を集めてサイドで勝負したほうが効率的です。
そのような目でプレミアリーグの試合を見ると、確かにそういう戦い方が行われています。中央での戦いはあえて避け、中央ではシンプルにボールをサイドへ運んでいます。翻ってJ2の試合などをみると、サイドと中央を明確に区別しない攻撃の展開が行われているのがよくわかります。
そこから考えられる具体的な戦術はこうです。
・サイドが各2〜2.5人ずつ、計4〜5人になる布陣
・敵のボールはプレッシングでパスコースをサイドへ限定し、サイドへ持っていく
・サイドでは数的優位を保っているのでここでボールを奪取
・ボールを奪ったらそのままサイドから攻め上がる
・サイドで攻め上がれないときは、なるべく手数をかけずにサイドチェンジする(ボールを中央へ運ぶのはあくまでサイドチェンジのため)
