ディフェンスはコンパクトに、オフェンスはワイドにと前述しましたが、オフェンスについてもう少し言及すると、ただフィールドに広く散らばっただけでは有効な攻撃の展開は望めません。前への展開を図る場合に一度後ろへ落とすという時にも二人の選手が前後で近い距離を維持しなければなりませんが、もっと初歩的な攻撃の展開を考える上での考え方が他にあります。それは簡単に言えばロングパスとショートパスを織り交ぜるということです。そのような言い方は表面的にとらえた表現かもしれませんが。実際には攻撃のための有効なフォーメーションの結果としてロングパスとショートパスが織り交ざった攻撃がなされると言うほうがより正確かもしれません。しかし結果的にというだけではなく、やはり意図的にロングパスとショートパスを織り交ぜた方がうまくいくのは事実です。
ロングパスはうまくつながると非常に有効ですが、確実につなげるためには広いスペースと、パスの出し手受け手それぞれの高い精度のキックとトラップが必要です。もちろん技術が高くなればその分広いスペースは必要なくなりますがそれにも限度があります。なぜならロングパスではパスが出されてから受け手に届くまでの間に時間差があり、その間に敵のディフェンダーにつめられてしまうからです。
一人ひとりがバラバラに広く散らばっているとロングパスをつなぐかドリブルをするしかありません。いくら広いスペースがあってもそれだけで展開できるほどスペースが確保されることはまずありません。ロングパスでボールを受けてもそこからドリブルだけで展開できるほどのスペースはなく、すぐにスペースはつぶされてしまいます。そこで数的優位を保ってボールをキープしなければ次の展開は図れません。そのため二人ないし三人が近い距離を保ってショートパスをつないで新たなスペースを生み出し、そのスペースへ向かってロングパスで展開を図ります。
逆にショートパスだけでつなごうとするのも攻撃の上ではあまり効率的ではない方法です。ダイレクトのショートパスをつないで行くサッカーは見ていてとても魅力的です。アルゼンチンや、ルーマニア、コロンビアなど、ダイレクトにショートパスをつなぐ攻撃は芸術的ですらあります。しかしスペースの有効利用という点では劣ります。ただし攻守の切り替えを考えるとコンパクトな陣形を保ったまま攻撃を行うという点で考慮に値する方法です。
